歴史の現段階

 日本の人民が直面している最も主要な問題は何か。それは言いかえれば、歴史を次の段階へときり拓くもっとも基本的な課題は何かということである。それはまた、歴史の現段階を正しくとらえるということでもある。

分水嶺にある近代日本」

 安保法制反対の運動のとき「戦後七〇年を迎えた今、立憲主義はかつてない危機に瀕している」ということが言われた。立憲主義とは何か。それは、その国の最高法規としての憲法を国民が定め、国家がこれを遵守し、そのもとで政治をおこなうということである。では、戦後日本の最高法規憲法であったか。
 占領が終わってから今日まで、日本国憲法の上には日米安保条約があり、日本政府の上には高級官僚と在日米軍からなる日米合同委員会がある。
 鳩山民主党内閣はこの合同員会によって潰された。安倍内閣はこの合同員会の指示によって、法を超えて権力をにぎり独裁政治をすすめ、戦争法などの諸法を作った。その仕上げが改憲である。すべては米軍と軍需産業のためになされている。
 在日米軍の背後にあるのは軍需産業であり、その国際資本である。日本の官僚はこの在日米軍を後ろ盾にしている。沖縄・辺野古に巨大な基地を作るのは、アメリカの必要からではない。米軍を日本に引き留めるためである。原発を再稼働するのは電力のためではない。アメリカとそれに従属する日本の核戦略のためである。
 立憲主義は日本において事実として、なかった。したがって、「近代国家の枠組」の崩壊と言ったが、正しくは「立て前としての近代国家の枠組」であり、それさえ崩壊したのが昨今の現実である。
 こうして今日の日本は、国際資本の収奪に国家と国民を完全にゆだね、すべてをそこに捧げる政治体制となっている。これを「アベ政治」と言う。ここまで酷いことは、歴史上はじめてである。

 アメリカとの関係では、最近、日本の空はすべて米軍に支配されていること、在日米軍はすべて治外法権の下にあること等が暴露されはじめた。奴隷であることさえ知らない真底からの奴隷状態を、ようやく脱する端緒が出てきている。
 アメリカは現代のローマ帝国である。それはすでに没落と崩壊の過程に入っている。いかに紆余曲折を経ようとも、それは避けられない。ここにアメリカの問題が表に出る背景があり、アメリカからの独立が現実の歴史課題となる条件がある。
 この歴史的現段階をふまえて近代日本を問い直し、資本主義の次の時代を見すえたわれわれの理念を育て、政治に向かう。これが問われる二〇一九年である。

神道新論』

 資本主義の行きついた果てとしてのアメリカは、現代のローマ帝国であり、資本主義の終焉という条件のもとで、解体過程に入ったローマ帝国である。帝国はその没落の過程で必ず戦争の危機をもたらす。いかに犠牲を少なくし、次の時代をひらくのか。ここに、いま人類が直面する最も大きな問題、つまりアメリカ問題がある。
 敗戦後、一貫してこのアメリカに隷属してきた日本は、この帝国アメリカの解体過程のなかで、激しく世が変動する。
 このなかでわれわれは、福島原発核惨事に神の言葉を聴きとり、それをふまえてアメリカ問題に向きあう。一国的には、アメリカへの隷属を断ちきり、まことの独立を実現する。そしてその過程で、帝国アメリカの没落をうけとめ、アメリカ人民の新しい世への闘いとたがいに呼応し連帯する。